セミナーの様子
転勤を伴う世帯の割合が高い地方都市である仙台エリアにおいては、多くの子育て世帯が育児に関して周囲に相談できない、いわゆる「孤独な育児」という地域課題に直面しております。また、地域でいきいきと子育てをしながら働くことができる環境づくりは、地域のあらゆる企業にとって欠かせないテーマでもあります。
2024年度の「まちづくり元気塾」では、子育て支援団体「一般社団法人子育てプラットフォームMaRU(まぁる)」の支援を軸に、地域の企業をはじめとした多様な主体の共創による「地方都市の子育て環境モデル」を目指します。
子育ての中心を担うパパママ、そして子どもたちにとっても、
必要なのは「親と子の居場所」「地域資源とのつながり」
「親子のふれあい」。
地域、企業、そして、子育てを支援するさまざまな人たちと
子育て世帯をつなぎ、産前から一貫型・循環型の
子育て支援の仕組みづくりに取り組んでいます。
地域が一体となり 循環型の子育て支援を目指して
MaRUは、宮城仙台で出産や子育てをきっかけに孤独や不安を感じている女性たちに向けて、子育て支援者や地域、応援企業とつながる機会を届け、子育てを応援しています。
地方都市の子育て環境モデルの構築
親と子のサードプレイス
ぽぽらす
これまでの活動を棚卸ししながら、地方都市の子育て環境モデルの構築に向けて、今後取り組んでいくべき方向性を描きました。
どのような関係者(ステークホルダー)と共に歩むか、届けたい人(ユーザー)にとっての価値は何か、取り組む仕事の範囲とリソース管理は適切か、組織やチームメンバーは心地よい状態にあるか、事業としての売上や利益に無理がないか、といった視点を道標としながら、プロジェクトがスタートしました。
地域課題の解決を目指していく上で、社会性と経済性の両立は避けては通れないテーマです。
ワークショップでは、東北や全国で活動する実践者をパートナーとしてお招きし、知の共有と対話を実施。事業活動を持続可能なものにしていくと同時に、小さくはじめた行動をより広く社会へと届けていくための道筋を描いていきました。
また、東北電力グループの様々な社員も参加することで、地域の企業と地域団体・スタートアップが共に学び合い、共創していくための土壌を育むことを目指しました。
事業化に向けたプロトタイプの実施
MaRUの思い描く「企業協働型両親学級」(これから親になる方たち・親になって間もない方たちへ向けた子育て支援プログラム)の解像度を高めていくために、既に東北の地で起きている数々の実践から学ぶ場をひらきました。
ゲストには、NPO法人ファザーリング・ジャパン東北の本田正博氏、鈴木学爾氏にお越しいただき、秋田や福島をはじめとした各地での取り組みを共有いただきました。
地方都市ならではの課題を捉えた自由度の高いプログラムを構想し、行政による一般的な両親学級との役割分担を明確にしていくこと。
子育ての当事者にとってのキャリアの視点、企業の人事の視点など、地域の企業と協働することを通じた新たな両親学級の形を生み出していくこと。
学び合いと対話を繰り返すことにより具体化していった企業協働型両親学級を、仙台の地で実際に試行する機会を計画しました。
東北電力×MaRUの共同開催
東北電力とMaRUは、2025年2月2日、出産前および育児期の東北電力グループ企業社員を対象とした「楽しい子育てのためのファミリーセミナー(企業協働型両親学級)」を開催しました。
本セミナーは、「抱っこやふれあいのしかた」のほか、「パパの育児参加の大切さ」、「妊娠・出産・育児・キャリア形成などに必要な知識やスキル」を学べるプログラムであることが特徴です。
講師にはMaRU理事で幼稚園教諭の遠藤しのぶ氏やNPO法人ファザーリング・ジャパン東北理事で看護師・保健師の鈴木学爾氏にお越しいただき、それぞれ「赤ちゃんとのふれあい・抱っこのしかた」「産後のメンタルケア・共働き夫婦の子育てのコツ」と題して講演いただきました。
参加者の皆さまからは、「男女で抱っこのしかたに違いがあるなど、実践的な話が聞けて良かった」、「父親のメンタルケアや仕事にも目を向けることができて勉強になった」など、たくさんのポジティブな声をいただき、来年度以降の、様々な企業を対象とした両親学級の展開に向けた手応えをつかむことができました。
MaRUからひとこと
私たちMaRUは、地域が一体となった循環型の子育て支援を目指し、これまで様々な活動に取り組んでまいりました。
昨年の調査では、子育て世帯が直面する重要な課題として、仕事と家庭の両立、キャリア形成、そして男女間の意識の差など、多くの悩みが存在することがわかりました。
これらの課題に対し、私たちは単独で解決するのではなく、地域や企業と協働することが不可欠だと考え、新たな両親学級の取り組みを企画しました。
この取り組みは、メンターである丑田様をはじめ、まちづくり元気塾のご関係者様、講師の皆さまの温かいご支援とアドバイスにより、実現の可能性が大きく広がりました。心より感謝申し上げます。
MaRUは、今後も宮城の地域の皆さまにより良い支援を提供できるよう、子育て世帯の笑顔のために、全力で活動してまいります。
この度は多大なるご支援を頂き、誠にありがとうございました。
MaRU代表 大橋 香朱美氏
チーフパートナー
コメント
地方都市の子育て環境モデルへ
丑田 俊輔氏
前年に続きご一緒させていただいたMaRUの皆さまの、変わらぬ情熱と行動力に勇気をいただく一年でした。
子育て支援団体を起業し、数年間に渡り実践を繰り返してきたMaRUの活動は、これまでも地域住民や企業からの信頼を積み重ねてきました。
その確かな信頼資本(つながりの資本)の上に、東北電力という地域に根ざした企業との協働が生まれ、この度新たな両親学級のモデルを提示できたことは、地方都市の子育て環境の未来における象徴的な一歩となったのではないでしょうか。
今後とも、社会性と経済性を両立させながら、同時に関わるすべての人が幸せであり続けながら、より一層の社会的インパクトを生み出していくことを願っています。