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集合研修型まちづくり元気塾

「マスターコース2016」

集合研修型まちづくり元気塾「マスターコース」は、
これまでの支援団体などまちづくり団体が一堂に集まりまちづくりパートナーとともに学びます。

キーワードは共感・共有・共同。
良いことも辛いことも出しあって、これからに活かそう。

もっと、まちづくりに取り組む皆さんを元気に。東北と新潟のまちづくり団体から集まった18名が、7名のまちづくりパートナーと共に学んだ「マスターコース2016」。目指したのは、まちづくりに取り組む者同士の「共感」、知識や事例の「共有」、そして「共同学習」を通じてのネットワーク形成です。

まちづくりパートナー
岡ア 昌之氏(法政大学 名誉教授)
志賀 秀一氏((株)東北地域環境研究室 代表)
橋立 達夫氏(作新学院大学 名誉教授)
柳井 雅也氏(東北学院大学 教養学部 教授)
菊池 新一氏(認定NPO 法人遠野山・里・暮らしネットワーク 会長)
本田 節氏((有)ひまわり亭 代表取締役)
寺川 重俊氏((有)寺川ムラまち研究所 代表取締役)
参加団体
阿仁の暮らしを守り伝える山人の会(秋田県北秋田市、2007年度支援)
特定非営利活動法人ふじさと元気塾(秋田県藤里町、2016年度支援)
農事組合法人湯の郷(岩手県花巻市、2016年度応募団体)
柳橋町内会(福島県郡山市、2016年度支援)
甲子柿を守る会(岩手県釜石市、2013年度支援)
宮古観光創生研究会(岩手県宮古市、2016年度支援)
岩誦坊クラブ(岩手県二戸市、2010年度支援)
以上7団体18名
方向性の模索まちづくりパートナー(アドバイザリーボード座長)/ 岡ア 昌之氏

まちづくりは、なにより人との出会い。
ネットワークづくり重視の2日間を。

まちづくりで何より大切なのは、人との出会いです。昭和40年代に遠野市長を務めた工藤千蔵氏は「出でよ、続々として出でよ。ふるさとを愛し、ふるさとの明日をつくる人たち」という言葉を残しました。いまや遠野近辺には、まちづくりの達人が大勢います。マスターコース2016では、そういった方々とも積極的に交流を深めてほしいですね。

岡ア 昌之氏
マスターコースに期待を寄せる岡ア氏

1日目/現地視察
復興のプロセスを学ぶ@

こんなはずじゃなかった、から生まれた「オリジナル」。

参加者は遠野市「道の駅遠野風の丘」に集合。パートナーらと大型バスに乗りこみ、車内では菊池氏が案内役となり、視察先の概略や三陸沿岸の復興状況などを紹介しました。

最初に訪れたのは住田町役場。ここは地元産の杉をふんだんに使った木造庁舎。トラス状の梁や高い吹き抜けが特徴です。参加者から、木組みの構造や維持管理コストについて質問が出ていました。

続いて、陸前高田市を流れる気仙川に面した「川の駅よこた」へ。この産直施設を拠点に活動する「あゆみ工房」は、2012年度の支援団体です。

視察 川の駅よこた「あゆみ工房」

「川の駅よこた」では、産直店舗で新鮮な農産物やオリジナル商品を視察。昼食に「あゆみ工房」スタッフ手作りのお弁当が出されました。

工房代表の菅野つた子氏は「こんなはずじゃなかった!と思うほど、菊池先生のワークショップはたいへんでした」と当時を振り返りながらも、終始にこやか。菊池氏と共にパートナーを務めた本田氏は「元気塾を通して、この土地にあるものを活かせば良い!と気付いてくれてうれしかった。オリジナル商品も作れるようになったんですね」と感無量。一斉に拍手が湧き起こりました。

【POINT】まちづくりパートナーより

ワークショップの汗がカタチに。/菊池 新一氏
私のワークショップは「夢語り」から始まります。しかし、夢のままでは意味がありません。参加者自身に、とことん実現の手立てを考えてもらいます。「額に汗どことか脳みそに汗をかいた」と言われるほど徹底的に。汗をかいて生まれた企画や商品は、自ずと底力が違います。

脳みそに汗をかきながら考えぬき生まれた、あゆみ工房オリジナル商品

1日目/現地視察
復興のプロセスを学ぶA

ひとつの出会いが、地域の未来を大きく変える。

引き続きバスは陸前高田市の沿岸部へ移動。「復興まちづくり情報館」で、東日本大震災の被害状況と復興のプロセスについて説明を受けました。どよめきが起こったのは、眼前に立つ高さ10 数mもの看板がほとんど津波に沈んだと聞いた時でした。

その後、釜石市内陸部に向かい、2013年度の支援団体「甲子柿を守る会」の活動拠点へ。

被災状況を伝えるパネルを見つめる表情も真剣に

視察 創作農家こすもす「甲子柿を守る会」

「創作農家こすもす」は「甲子柿を守る会」の活動拠点のひとつ。参加者全員に甲子柿を使ったデザートがふるまわれ、さわやかな食味を楽しみながら話を聞きました。

同会代表の藤井サヱ子氏が「生産者の減少で途絶の危機にあった甲子柿ですが、まちづくり元気塾でCAS(キャス)冷凍技術のことを聞き、試行錯誤した結果、商品化と販路拡大の目処が立ちました」と明るい話題を発表。事業はいよいよ本格化するようです。

支援時まちづくりパートナーとして関わった橋立氏は「甲子柿再興にとって最大の難関は、通年出荷の可否でした。これが壁になり、色々試みても決定打が出ない。そこに新技術が現れ、状況は一変しました。生産が100倍になる可能性もあると思います」とエールを贈りました。

もうひとつの活動拠点「柿室( かきむろ)」にも移動し、甲子柿の独特な燻蒸加工を視察。その後、バスは再び遠野市に向かいました。

視察 夢産直かみごう

遠野市までの移動中、菊池氏が「夢産直かみごう」についてエピソードを紹介しました。開設にこぎ着けるまでの粘り強い活動。飽きられない名物を生みだそうと、何年も費やしたジェラート開発。いずれも地域活性化の良い参考となるものばかり。現地到着後、参加者のほとんどが話題のジェラートに舌鼓を打つ光景が見られました。

1日目の日程は以上で終了。一行は遠野市に宿泊しました。

2日目/討論会
まちづくりへの思いを共有するために

工夫と成果を伝えよう。外から見えない苦労も語ろう。

2日目は、参加者とまちづくりパートナーが一堂に会して討論会からスタート。情報や意見を活発に交わし、まちづくりの「良い面」と「辛い面」双方について語り合う場となりました。

良い話も辛かった話も全員で共有

討論会 全員参加による元気塾会議

以下は、参加団体の活動報告とまちづくりパートナーのコメントからの抜粋。

● 阿仁の暮らしを守り伝える山人の会(2007年度支援団体)
 山田 博康氏
古くから伝わる番楽(神楽)を共有の財産として活用し、集落を元気にしようと考えました。はじめは共感する住民が少なく、盛り上がりに欠けていました。

●寺川氏(支援時のパートナー)コメント
住民はかたくなに「番楽はお盆にするもの」と。粘りに粘って春に公演する「菜の花番楽」を立ちあげると、他の集落からも参加希望が。より広い範囲で共有できる地域資源に育ちました。

●岡ア氏(支援時のパートナー)コメント
小さな地域での活動が行き詰まった際には、もっと広域で考え、連携しながら活動を進めると良い場合も。全体が動くと、小さな地域も内部のわだかまりを越えて動きだすようです。

●農事組合法人湯の郷(2016年度応募団体)
 照井 順一氏
廃校を活かした「山の駅昭和の学校」を軸に、空港も高速道もある花巻市で活動する団体です。テーマは温泉と農業の連携。環境には恵まれていますが、いまひとつ伸び悩んでいます。

●柳井氏コメント
一寸法師のひと針、と言います。何かひとつにねらいを絞り込み、トップを目指しましょう。たとえば外国人にとって「スキー+温泉」の組み合わせが楽しめるのは日本だけ。そういう発想が必要ですね。

2日目/現地視察
遠野の先進事例に学ぶ

伝統と風土を活かした先進的取組みを体感。

視察 農家民宿大森家、遠野伝承園、遠野馬の里、道の駅遠野風の丘

討論会の後、一行は遠野市郊外にある農家民宿「アグリツーリズモ大森家」を訪問。隅々まで気配りが施された施設に感銘を受け、すぐさま宿泊の予約を入れる参加者も現れるほど。

続いて「遠野伝承園」へ。古民家などを見学し、昼食に遠野の伝統食「ひっつみ」や蕎麦を味わいました。打ち解けた雰囲気の中、笑顔で集合写真の撮影を楽しむ光景も。

「遠野馬の里」も視察しました。市街を見下ろす高原に42haもの敷地が広がります。主に競走馬の育成に使われ、先進的な傾斜付きのトレーニングコースも設置。農耕馬と長く関わってきた遠野ならではの、地域の文化に根ざした施設です。

視察の締めくくりは「道の駅遠野風の丘」。菊池氏が企画段階から関わり、工夫を重ねた店舗や商品・レストランなどを視察して全日程を終了。パートナーも参加者も今後の交流について語り合い、連絡先を交換しながら名残を惜しみました。

「遠野伝承園」でパートナーらと語り合う参加者

【気づき】参加者からひとこと(お寄せいただいた感想から)

●他の地域の課題や取り組みを学ぶだけでなく、各団体の熱意や元気を肌で感じることができた。

●様々な価値観や観点で地域を見直す重要性を感じた。

●まちづくりパートナーや他の地域の方とのつながりができた。このつながりを大切にして、これからの活動に活かしていきたい。

※本文中に記載の役職等は、当時のものです。