第1回/経過の共有と話題の提供
【平成26年1月14日】
甲子ならではのストーリーを育てよう。
第1回は、「甲子柿を守る会」の現状や課題をまちづくりパートナーと参加者で共有するため、これまでの活動経過を報告。また今後の方向性を探るため、まちづくりパートナーからの話題提供、参加者同士での意見交換を行いました。
まちづくりパートナーからの話題提供
まちづくりと商品の魅力づくりの接点を考えると、ストーリーが大事。甲子地区を舞台にした苦労話や夢、ユーモアを交えて語る『甲子柿物語』に載せて柿を売るというイメージで展開するのも効果的です。(橋立 達夫氏)
第2回/事例の紹介〜「やだねん」のDVDを視聴
【平成26年3月14日】
やりがいから生きがい、暮らしがいへ。
第2回は、今後の参考事例として、DVD「やねだん※〜人口300人ボーナスが出る集落」を視聴。まちづくりパートナーによる解説や、意見交換が活発に行われました。
※『やねだん』とは
鹿児島県鹿屋市柳谷集落のことで、120世帯およそ300人が共存する、高齢化が進む中山間地域の集落。この集落は子どもたちから高齢者まで強い絆で結ばれ、集団営農から六次産業化を推進することで独自財源を築き、高齢者には1万円のボーナスが支給され、地方創生の”good
practice”として全国的に注目されています。(出典:やねだんオフィシャルwebサイト)
『やねだん』に学ぼう
『やねだん』の魅力は第一にユニークさです。例えば、空き家をきれいにして移住者を招く。移住者は芸術家に制限する。これは、地域発展で大切なのは文化であり、文化が閉塞して地域が滅びることがないように、他の文化と融合させようという戦略の現れです。
二番目は優しさ。地元のリーダーである豊重先生は、スポーツでも学業でも、いつも誰が一番困っているかを考え、そこから発想します。困っている人を助けるために事業を考えています。
これらの発想や心遣いに、大いに学びたいと思います。(橋立
達夫氏)
第3回/先進事例を学ぶ講演会
【平成26年5月28日】
地域活動に補欠はいない。
第3回は、釜石市の甲子地区や鵜住居地区などの視察と、『やねだん』の豊重哲郎氏を招いての講演会を実施しました。視察では、まちづくりパートナーが地区の全体像や特徴を把握し、講演会では、豊重哲郎氏の熱のこもった講演をメインに、まちづくりパートナーからのアドバイスや意見交換も行われました。
豊重哲郎氏講演内容から
地域づくりには必要な三本柱があります。(1)行政に頼らず自ら率先して行う『住民自治』、(2)企業経営の感覚で自主財源を確保する『財務管理』、(3)人が集まるのが大前提である以上『地域づくりは
総力戦』です。
まちづくりのために人を集める時は、自分自身の言葉で語り掛け、明確な数字を示さなければなりません。
地域住民の総参加は、感動と感謝の気持ちがあってはじめて実現します。
人は心で揺さぶりあっている存在です。
「地域活動に補欠はいない」。たとえ新しい方針に対して現れる反対派に対しても、参加してもらえるよう粘り強く努力する必要があります。地域づくりはひとりひとりがレギュラーです。
地域づくりは「三歩進んで二歩下がる」、「急ぐな、慌てるな」、そして、勉強してよそからいただいた知識=『もらい言葉』は、必ず、「自分の言葉につくり直す」ことが重要です。そうでないと自分のものにならず、使えなくて無駄になり、後継者にも伝わりません。
【POINT】まちづくりパートナーより
「任せておけばなんとかなる?」/菊池 新一氏
かつての日本では、地域づくりは行政などに任せておけば何とかなった。でも、今は自分たちで何とかしなくちゃならない時代です。そうかと言って、誰かのどこかの取り組みのコピーそのままじゃなんともなりません。自分たちの思いと苦労で手づくりしないと。大切なのは、なにより自分のこととして思い立つことです。「巻き込む人」がいてはじめて、「巻き込まれる仲間」ができます。
第4回/情報の共有ワークショップ@
【平成26年11月3日〜4日】
伝統的な産品に、最新の技術と制度を。
第4回の初日は、甲子地区の柿畑や「燻蒸室」を視察し、甲子柿生産の過程についてヒアリングを実施しました。
2日目は、甲子柿の生産や販売を拡大するための具体的な方策として、まちづくりパートナーより、CAS(キャス)冷凍技術と果樹のオーナー制度について話題提供があり、実現に向けて意見交換を行いました。
CAS(キャス)冷凍技術について
●菊池 新一氏より
柔らかい食材に向いた最新の冷凍技術。特定の磁場環境で瞬間的に冷凍するため、食材の細胞が破壊されません。解凍しても鮮度が保たれ、口あたりを損なわず、生き生きとした食味が保てます。
CAS冷凍をうまく活かせば、甲子柿の風味を守りながら、いつでも出荷できるようになります。世界で初めての「1年中楽しめる熟柿」誕生も可能で、料理やスイーツにも幅広く展開できそうです。
果樹オーナー制度について
●田村 幸夫氏より
オーナー制度は、果樹などのオーナーを有料で募集し、収穫した果実や加工品を提供します。成功させるポイントとしては(1)継続的なイベントや交流の提供、(2)環境学習への協力、(3)加工品の開発と販路確保が挙げられます。
まちづくりにオーナー制度が役立つというのは、事業規模の拡大だけではありません。人と人との関係が密になり、地域の見直しにつながります。関わる人自身に好ましい変化が生まれますよ。
第5回/イメージを具体化〜ワークショップA
【平成27年3月24日〜25日】
3つのテーマごとにキーワードを抽出。
第5回の初日は、経過報告を行い、これらについて意見交換会を実施しました。
2日目は、ワークショップを実施し、(1)生産者・消費者・一般・行政への要望出し、(2)今後の「甲子柿を守る会」の活動をどうするか、(3)ブランド柿のネーミングを考えよう、という3つのテーマごとに討議し、今後の方向性に活かすためのキーワードを抽出しました。
ワークショップで抽出した今後に活かしたいキーワード
●ルビーのような輝きは驚き!生クリームをのせたい。
● 夏にジェラート化すれば高く売れる。
●ネーミング、パッケージが重要。
●オーナー制度はモノのやり取りだけでなく、生産現場への関与が重要。
●販路は、遠方よりも近隣で広げよう。
●商品は、家庭用も業務用も考えよう。
(以上まちづくりパートナーより)
●釜石に道の駅ができたら販売したい。
●魚のように冷蔵が当たり前の果物があることをイメージさせたい。
●高校生など若い人の意見も聞きたい。
●使わない畑や木の買い取りなど、生産者の話し合いも必要。
(以上参加者より)
キーワードへの総評
●守る会の取り組みが釜石市全体へ波及して、釜石市が元気になるような広がりを。
●ジェラート展開は経費のあてがつき次第、進めてみると良い。
●オーナー制度は柿の生産者とも連携し、ぜひ甲子地区に合った方法を検討してもらいたい。
(橋立 達夫氏)
【気づき】参加者からひとこと
「もっと早く出会いたかった」
●甲子の里柿生産組合 組合長 藤井 修一氏
『守る会』との連携から、生産組合の体制を整えていこうと考えるようになりました。この地区の気風は保守的で連携が得意ではありませんが、発想を転換し視点を変え、新しい展開をしていきたいと思います。CAS冷凍やオーナー制度など、もっと早く出会いたかったですね。