平成17年2月18日
当社はこのたび、地球温暖化防止に向けた新たな取組みとして、中米ホンジュラスの製糖会社3社が行うクリーン開発メカニズム(CDM)プロジェクト(以下、「プロジェクト」)から創出されるCO2クレジットを購入することといたしました。
クレジット総量は、2012年までに合計で約60万トンを見込んでいます。
本プロジェクトは、いずれも製糖過程で発生するサトウキビの残渣(搾りかす)である「バガス」を発電用燃料に利用するバイオマス発電プロジェクトであり、化石燃料を代替することによりCO2の排出削減につながるものです。
当社は、地球温暖化防止に向け、原子力発電やLNG火力発電の開発、火力発電における熱効率の向上など、さまざまな設備面の対策によりCO2排出量の削減に努めてきております。
また、「京都メカニズム」(注1)については、地球規模でのCO2排出削減に貢献し、設備面の対策を補完する重要な取組みとして位置付け、これまで日本温暖化ガス削減基金(注2)や世界銀行炭素基金(注3)、オーストラリアでの植林事業(注4)への出資、さらにはカザフスタン共和国での省エネルギーモデル事業(注5)の実施など(注6)、その活用を視野に入れた自主的かつ先行的な取組みをすすめてきました。
このような中、先進国の温室効果ガス削減目標を定めた京都議定書が2月16日に発効し、地球規模で温室効果ガスの排出削減に関心が寄せられ、実効的な排出削減対策として「京都メカニズム」に対する期待が高まりつつあります。
こうした中で行う、本プロジェクトからのCO2クレジットの購入は、これまで先行的に実施してきた温暖化防止の取組みを、さらに推し進める観点から実施するものです。
当社では、今後とも、「京都メカニズム」を積極的に活用することで、環境保全と経済性を両立した環境経営に努めるとともに、地球規模での温暖化防止に貢献してまいりたいと考えております。
なお、プロジェクトの概要等は別紙のとおりです
以上
(注1)京都メカニズム |
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温室効果ガスの削減目標を国際協調によって達成するための「京都メカニズム」には、以下の3つの制度があります。 |
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@ |
「クリーン開発メカニズム(CDM)」 |
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・ |
先進国と途上国が共同で事業を実施し、その削減分を投資国(先進国)が自国の目標達成に利用できる制度 |
A |
「共同実施(JI)」 |
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・ |
先進国同士が共同で事業を実施し、その削減分を投資国が自国の目標達成に利用できる制度 |
B |
「排出量取引」 |
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・ |
削減目標達成のため、先進国同士が排出量を売買する制度 |
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(注2)日本温暖化ガス削減基金 |
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国際協力銀行、日本政策投資銀行を中心に国内企業33社が参加し設立したアジア初の炭素基金。参加者の出資金をもとに、開発途上国や東欧諸国における温室効果ガス削減プロジェクトに投資し、そのプロジェクトにより得られた温室効果ガス削減相当量を、CO2クレジットとして出資者に還元します。当社は、本基金に対して1,000万ドルを出資することとしています。 |
(注3)世界銀行炭素基金 |
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世界銀行が設立したCO2クレジットの獲得を目的とする基金。主要先進国または企業等からの出資金をもとに、開発途上国や東欧諸国における温室効果ガス削減プロジェクトに投資し、そのプロジェクトの実行により得られた温室効果ガス削減相当量を、CO2クレジットとして出資者に還元します。当社は、本基金に対して1,000万ドルを出資することとしています。 |
(注4)オーストラリアでの植林事業 |
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西オーストラリア州のAPFL社が実施する植林事業。植林木の伐採(製紙原料として販売)・再植林を繰り返すことで、CO2の吸収・固定を図ります。(2004年3月現在の植林面積は約2万4,000ha)当社は、本事業に対して約190万豪ドルを出資しています。 |
(注5)カザフスタン共和国での省エネルギーモデル事業 |
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西カザフ州ウラルスク市の熱電併給所に、日本で導入実績のある高効率ガスタービン・コジェネレーション設備を導入する事業。当社がNEDOから事業を受託し、現在設備を建設中であり、2005年7月に運転を開始する予定です。本事業は、わが国初の共同実施(JI)案件として、政府から承認されています。 |
(注6)その他のJI/CDM案件の取組み状況
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・JETROカザフスタン共和国随伴ガスによる新規産業マスタープラン調査(JI)
カスピ海北部油田地帯の随伴ガスを利用した発電及び化学(硫黄、石膏)の事業マスタープランを作成するものです。本調査は、CO2クレジットの取得にもつながるもので、JETROの事業可能性調査として平成17年2月3日に受託したものです。本年3月には調査を開始する予定で、実施期間は6〜12カ月となります。
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・環境省カザフスタン共和国バイオガス発電調査(JI)
環境省より平成16年6月に受託しているカザフスタン共和国のバイオ発電の事業可能性調査で、カザフスタン国内の人口増加地域にバイオガス発電技術を用いた3千kW級の発電設備を設置し、電力供給および熱供給を行うものです。燃料には下水汚泥等の有機廃棄物の発酵処理により発生するバイオガス(メタンガス)を利用します。
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・環境省ベトナム水力機能回復調査(CDM)
1980年に建設された、現在休止中のベトナム・ソンマック水力発電所の機能回復を図り、CDMとしての事業化を目指すもので、環境省より平成16年10月に「平成16年度CDM認証モデル事業」として受託しています。
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・NEDOフィリピン廃棄物埋立地ガス発電調査(CDM)
フィリピン・マニラ郊外のゴミ埋立て処分場から発生するメタンガスを回収し、3千kW級の発電を行うものです。本調査は、平成16年12月に三菱証券がNEDOより受託した事業可能性調査で、当社は協力企業として参画し、技術評価を担当します。 |
※その他のJI/CDM案件についても現在調査実施に向けて準備を進めています。 |