Tomorrow Initiative

  • 電カシステム部(変電)
    (取材当時) 瀬谷 雅俊 2000年入社
  • 東北出身。地域の発展に大きく貢献する仕事に携わりたいと考え入社。
    以来一貫して変電に携わる。
    北上、会津、福島等の技術センターにて、
    変電所等の拡充・改良工事を経験した後、現在は管内の変電改良計画を統括するとともに、
    新技術導入に向けた取り組みを進めている。

技術者の高度な知見と
現場の作業者を
リアルタイムにつなげる

  • どうして変電設備は大切なのですか?

    発電所の多くは山間部や沿岸部にあり、電力の最大消費地である都市部に届けるには長距離を結ぶ必要があります。大量の電気を低ロスで供給するために、送電時には電圧を50万ボルトや27万5千ボルトなど超高圧で送りますが、そのままでは、工場やビル、住宅などで使用することはできません。それぞれの施設にあわせて電圧を下げる役目を担うのが変電所です。そのため、変電設備が適切に稼働することなしには、発電所が稼働していても、電力が送り届けられることはなく、経済や暮らしが止まることにもつながります。

    東日本大震災時、変電設備がダメージを受けたのですか?

    はい。他の設備も数多くの損傷を受けましたが、電力の需給バランスの崩壊、発電所停止や大規模停電の一因には変電設備の損傷がありました。そのため、変電領域では従来通り、設備を適切に維持・管理することはもちろん、これから起こりうる未曾有の災害や事故などに対して、技術的な対応スピード・対応能力を最大限に高めていかなくてはならないと考えています。変電技術を革新していかなければなりません。

    変電技術の革新に向けて何に取り組まれていますか?

    ウェアラブルデバイスに着目し、所轄管内全域におけるスマートグラスの導入に取り組みました。スマートグラスを基盤に、高度な知見を有する変電部門の技術者と現場の作業者をリアルタイムにつなげることにより、非常時でも的確・迅速な対応を実現していきたいと考えています。

知見の継承へ
スマートグラスが有効に機能する

  • スマートグラスの活用とは?

    スマートグラスはもともとエンターテインメント領域で活用されていましたが、業務用途として現場活用に特化させることができるのではと考えたのが発端です。豊富な経験と高度な知見を有した技術者を事業所に配置。現場の作業者が目にしている視覚情報がリアルタイムに事業所へ届く形にしました。

    それを見て事業所の技術者がアドバイスを?

    はい。作業者のディスプレイに拡張現実のような形でテキストやオブジェクト、データなど事業所の技術者の指示が投影されることで、作業者は両手をフリーな状態でアドバイスを受けられ、精緻な作業実現につながります。また、事業所の技術者は複数拠点で同時並行する作業状況を同時に把握し、統括することも可能です。

    点検精度を高めることにつながりますね?

    はい。やはり、経験が浅い社員ではどうしても目視などの点検精度が甘くなってしまいます。今までは先輩が付き添うなど、現場でノウハウを伝授していましたが、技術者の高齢化や退職などに伴い、もっとスピーディにノウハウを継承しなくてはいけないという課題がありました。体系化した仕組みで点検レベルを向上していきたいというのがスマートグラス導入の一つの目的です。

距離を越えていく、
それが最も大きなメリット

  • 東北地域や新潟などは<地理的な問題も抱えているので対応スピードもあがりますよね?

    それは、スマートグラス導入での一番の効果だと思います。日本のような災害の多い土地では、平時のみならず、非常時も念頭に置いたうえで検討を重ね、電力供給の未来図を描くことが大切になります。管轄エリアが広く山間部が多い地理的特徴、さらに積雪など天候面での課題を有する東北地域や新潟ではなおさらのことです。不断の電力供給のために、これまでは、所轄管内の電力センターに勤務する技術者が変電設備の点検を行っていました。しかし、場所によって状況把握に時間を要する問題を抱えていました。

    知見を有した技術者がすべての現場に行かなくても対応が可能になる?

    その通りです。スマートグラス導入で地理的・人的な制約にとらわれない高度な状況把握・補修業務を実現できると考えています。そのギャップを埋め、対応スピードをさらに一段階上げられる、それはひいては人々の暮らしや経済活動を守ることにつながるはずです。

    スマートグラスの導入はどの程度に広がっていますか?

    現在は変電領域での用途を想定し、東北地域や新潟の変電業務を所掌するすべての電力センターに導入しましたが、私が見据えるのは、さらにその先です。活用範囲を拡大し、ゆくゆくは変電のみならず、全社的な活用につなげたい。そうすることにより、技術者の連携を強化し、所属部門や勤務場所にとらわれない技術的なネットワークを形成できると考えています。それは、私たちの叡智を結集することであり、その叡智を一つ一つの現場に生かしていくことでもあります。

私の頭の中には
新たなビジネスチャンスの絵も

  • 見据えている未来像はありますか?

    これは、私の頭の中の未来図ですが、スマートグラスを活用することでより多くのビジネスチャンスが生まれていると考えています。

    それはどのようなものでしょうか?

    送配電部門の法的分離により、独立した企業として新たなビジネスを私たち自身もつくっていく必要があり、それなしには企業としての成長がありません。例えば、スマートグラスがその一翼を担い、変電技術、叡智を域外の現場、または海外まで広げていくこと。それが、新たなビジネスに展開する道を拓き、その技術をもって域内外をリードしていく日というのも、遠くない未来として想定できるかもしれません。