女川原子力発電所2号機における原子炉格納容器内水素濃度検出器の不具合に係る原因と対策について

2026.04.07

原子力発電

当社は、女川原子力発電所2号機において、2025年5月26日および同年6月20日に発生した原子炉格納容器※1内水素濃度検出器※2の不具合について、本事象が発生した原因と再発防止対策を取りまとめました。

当社といたしましては、今回策定した再発防止対策を確実に実施し、引き続き安全確保を最優先とした原子力発電所の運転に努めてまいります。

事象の概要および原因と再発防止対策は、以下のとおりです。


【事象の概要】

●女川2号機では、重大事故等発生時の水素濃度を監視するために、圧力抑制室※3および格納容器内に各2台ずつ、計4台の水素濃度検出器を設置している。

●2025年5月26日に圧力抑制室内の水素濃度検出器1台が正しい値を示していない状態にあると判断し、使用を停止した。次いで、6月20日には、格納容器内の水素濃度検出器1台についても、正しい値を示していない状態にあると判断し、使用を停止した。

その後、女川2号機の安定運転に万全を期すため、8月21日から8月30日まで原子炉を計画的に停止し、健全な2台を含む全4台の水素濃度検出器を交換した。

2025年5月27日6月20日8月19日8月21日8月30日にお知らせ済み)


【原因調査の概要】

●水素濃度検出器は、細いパラジウム線をボビンに巻き付けた構造となっている。パラジウムが水素を吸着すると抵抗値が変化する性質を用いて水素濃度を測定する。

昨年8月の計画停止時に取り外した4台の水素濃度検出器を分解し、外観観察や電子顕微鏡による詳細観察等の調査を実施した。この結果、パラジウムの結晶同士の境目に沿った割れや酸化、被膜※4の剥がれを確認した。また、パラジウム線の割れは径全体に進展していた。


【事象発生メカニズム】

水素濃度検出器の製造および性能試験の過程で、加熱と冷却を繰り返す。この温度変化によりパラジウム線に加わる引張応力※5が変動を繰り返し、パラジウム表面の粒界(結晶同士の境目)に細かな割れが生じ、進展するとともに、被膜が剥がれた。

被膜が剥がれたパラジウム線の表面および割れた箇所から粒界に沿って酸化が進行した結果、パラジウム線は脆くなり、一定の引張応力によって割れが径全体に進展したことで抵抗値が急激に増加し、正しい水素濃度の値を示さない不具合へと至った。


【事象発生の原因】

本事象の原因は、製造および性能試験過程において加熱と冷却を多く繰り返したことに起因したパラジウム線の割れの進展および被膜の剥がれによるものと特定した。


【再発防止対策】

性能試験過程における加熱・冷却回数の低減

性能試験の方法を見直し、加熱と冷却の回数を減らすことで、パラジウム線の割れの発生および進展を抑制する。

被膜の品質向上

被膜を作る工程で、従来よりも高濃度のオゾンを使って不純物を取り除くとともに被膜の厚さを均一化することで、被膜の品質を向上させ、剥がれることを抑制する。


※1 原子炉格納容器は、原子炉圧力容器やポンプを覆っている寸胴形の容器と圧力抑制室で構成される気密性の高い容器。万一の配管破断事故などにより、原子炉設備から放出される放射性物質を閉じ込める役目を果たす。

※2 重大事故等発生時において原子炉格納容器内の水素濃度を監視するために設置している。

※3 圧力抑制室は、原子炉格納容器の一部で、大量の水を常時貯蔵している円環形(ドーナツ状)の構造物。格納容器内の配管が破断し、蒸気が発生して圧力が上昇した場合などに、蒸気を圧力抑制室に導き冷却することで、原子炉格納容器の圧力を下げる。

※4 パラジウム線表面での水素と酸素の反応による測定精度への影響を防止するため、パラジウム線表面への酸素透過を抑制するもの。

※5 両側に引っ張られる力。パラジウム線は、温度が下がったときにボビンよりも大きく縮む性質がある。そのため、検出器が製造時に最も高温となる時よりも温度の低い状態(性能試験や実運用時)では、パラジウム線が常に引っ張られる力が掛かる。

以 上