東通原子力発電所1号機における非常用ディーゼル発電機(B)の運転上の制限からの逸脱に係る原因と対策平成23年 4月12日 【発生場所】 東通原子力発電所1号機 【運転状態】 第4回定期検査中 【概 要】 4月8日、非常用ディーゼル発電機(B)を運転中のところ、13時55分頃、燃料循環ポンプ付近から軽油が漏えいしていることを確認し、非常用ディーゼル発電機(B)を停止したことから、14時08分、発電所の運転の際に実施すべき事項などを定めた保安規定で求められている運転上の制限※1を満足しないと判断しました。 なお、非常用ディーゼル発電機(A)を含むA系については、定期点検中です。
所内の電源は、外部電源であるむつ幹線2回線と東北白糠線1回線の計3回線が確保されており、発電所は安全に停止状態を維持しております。軽油の漏えい量は、約200リットルであり、現在、漏えいは停止しております。
本事象による、排気筒モニタ、排水モニタ、モニタリングポストに異常な変化はなく、発電所周辺への放射能の影響はありません。
【点検結果】 当該ディーゼル発電機を点検したところ、燃料循環ポンプの軸封部より軽油の漏えいが確認されました。 このため、当該ポンプを分解したところ、オイルシール※2の一部が欠損していたことから、新品と交換して復旧しました。 その後、当該ディーゼル発電機の動作確認試験を実施し、4月9日7時00分に保安規定に定める運転上の制限内に復帰しました。
なお、非常用ディーゼル発電機が待機除外となっていた間も、仮に外部電源が喪失した場合にも直ちに対処できるよう、電源車および消火ポンプ車を所定の位置に待機させました。
【原 因】 当該ポンプは、点検計画に基づいて、今回の第4回定期検査において、2月28日から3月9日の間に分解点検を実施し、この点検後、当該非常用ディーゼル発電機の起動試験により異常がないことを確認しております。 オイルシール欠損の原因を調査した結果、工事要領書には、オイルシールの取り付け方向に関する注意事項の記載がなかったことから、正しい方向に取り付けられていないことに気が付かないまま、当該ポンプの組込みを行ったため、その後の運転に伴い、オイルシールが徐々に変形、破損し、軽油の漏えいに至ったものと推定しました。
【対 策】 今後、非常用ディーゼル発電設備(A)、(B)および高圧炉心スプレイ系ディーゼル発電設備について、オイルシールが取り付けされている機器の分解点検を実施し、取り付け方向の確認を行います。 また、オイルシール組込み時の注意事項を工事要領書へ記載するとともに、組込み時の記録についても管理することとし、本事象については、当社および協力会社の教育資料に反映し、再発防止に努めてまいります。
本事象は、「東通原子力発電所におけるトラブル等対応要領」に基づくA情報に該当する事象であり、法令や安全協定に基づく報告事象ではありません。 なお、事象発生時は、安全協定に基づく報告事象としてお知らせしましたが、原因調査の結果、法令や安全協定に基づく報告事象には該当しないことを確認しました。
以 上
※1 運転上の制限は、安全機能を確保するため、予備も含めて動作可能な機器(ポンプ等)の必要台数や、原子炉の状態毎に遵守すべき温度や圧力の制限を定めているものであり、保安規定第60条は、非常用ディーゼル発電機の起動や所内電源系へ接続できることなどを定めたもの。
※2 オイルシール 回転軸における内部流体の漏れや異物の混入を防ぐ密封装置であり、異物の混入を防ぐダストリップ部と内部流体の漏れを防ぐシールリップ部等により構成されている。
|