企業グループ紹介「One Team!!」■東北開発コンサルタント■東北初の複数の未利用熱導入システムが評価され、2024年度省エネ大賞審査委員会特別賞を受賞!

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 東北開発コンサルタントでは、観光商業施設「アクアイグニス仙台」の建設・設計に携わり、(株)深松組・クラフトワーク(株)とともに2024年度省エネ大賞審査委員会特別賞を受賞しました。多くの苦労を乗り越えて導入した画期的な省エネ設備や受賞の思いについて、取締役建築設計部長の大竹宏さんと建築設計部設備設計グループ副部長兼課長の鈴木正志さんにお伺いしました。

東北開発コンサルタントとはどんな会社?

 1968年の創業以来、土木・建築分野における調査・設計・監理などを行う東北開発コンサルタント。東北電力グループの建設コンサルタント会社として、水力・火力・原子力発電所、ダム、変電設備等の計画・調査・設計などを行うほか、建築設計部では東北電力グループの事業所社屋、官公庁や民間企業のオフィス建て替えや改修等、幅広く建築設計・工事監理業務に携わってきました。「当社は、建物に対して調査・計画から意匠・構造・設備の設計全てに豊富な経験を持つ総合的な設計事務所です」と大竹部長が話す通り、ワンストップで業務を遂行できることが強みです。
 近年では環境保全を経営の最重要課題の一つと位置付け、省エネ関連技術を生かした事業活動に注力。2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、設備が古くなった水力発電所を改修して効率的な発電を目指すリパワリングや、ZEBプランナーとしてZEBの普及にも積極的に取り組むなど、建築設計・省エネ設備に関する幅広い困りごとに対してコンサルティングを行っています。

※ZEB:Net Zero Energy Buildingの略。建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指す建物のこと

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東北電力ネットワーク山形支社の改修ではビル全体の省エネに貢献しました

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ZEBプランナーは、自社が受注する建築物の50%以上をZEBが占めることを事業目標に掲げる企業が登録

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省エネによって使うエネルギーを減らすとともに、エネルギーを作ることでエネルギーの消費量の実質ゼロを目指します

2024年度省エネ大賞「審査委員会特別賞」を受賞

 東北開発コンサルタントは、(株)深松組、クラフトワーク(株)の2社とともに、東日本大震災からの復興のシンボルとして2022年にオープンした観光商業施設であるアクアイグニス仙台の建設に携わり、主に省エネ設備の設計・設備工事の監理に大きく貢献しました。温泉排熱や地中熱といった未利用の熱をヒートポンプなどにより集め、それらを施設の温泉棟や農業ハウスなどで利用することで、従来比約79%の二酸化炭素(CO₂)排出削減を達成することができました。2024年度省エネ大賞にこの取り組みを応募したところ、さまざまな熱を生かしたシステムの導入が高く評価されました。
 応募に当たっては、「審査員の方々に今回のシステムについてご理解いただけるよう、何度も資料を作り直すという苦労がありました」と鈴木副部長。この努力のかいがあり、同賞の東日本地区発表大会では優秀プレゼンテーション賞、そして本大会では審査委員会特別賞を受賞しました。

 1月29日〜31日には東京ビッグサイト東ホールで行われたENEX2025で授賞式が開催され、3社の代表社員が出席しました。「これまで名だたる企業が受賞された賞に選ばれたことを、大変光栄に感じています」と鈴木副部長は話します。

※省エネ大賞:主催:一般財団法人省エネルギーセンター  後援:経済産業省

復興のシンボルを目指す「アクアイグニス仙台」

 東日本大震災で大きな被害を受けた仙台市東部沿岸部の藤塚地区で、新たな賑わいの創出を目指して建設されたアクアイグニス仙台。約1万坪の敷地内に天然温泉やスイーツ、ベーカリー、レストラン、農業ハウスなどが配置され、休日には多くの人が訪れる人気スポットとなっています。
 アクアイグニス仙台では、持続可能な地域社会を目指し「地産地消」をテーマに掲げており、施設内飲食店における地元農産物の活用や、再生可能エネルギーの創出とその活用による省エネを目指しています。鈴木副部長をはじめとする担当者は、「省エネ設備でも新しいことをしよう」と施設内の様々な種類の廃熱を生かした省エネ設備について提案。東北地方では初めて、施設内のあらゆる排熱を回収し、温泉の加温や床暖房など施設内の温度調整に利活用する、複数熱回収による熱の地産地消システムを導入することになりました。
 また、施設内に建設した農業ハウスでは、再生可能エネルギーを利用した植物栽培用熱源設備の構築に関する研究を行いました。「農業分野はまったくの未経験だったため、専門家や農家の方々にアドバイスいただきながら温熱環境を整えました」と鈴木副部長。現在は、冬季は太陽熱、夏季は井水熱などを組み合わせた冷暖房設備で、3種類のトマト栽培を行っています。栽培したトマトは、アクアイグニス仙台内にある「マルシェリアン」で販売しており、お客さまから人気があるそうです。

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天然温泉や有名シェフが監修するレストラン棟などが建つ「アクアイグニス仙台」

東北初の複数の未利用熱利活用による省エネシステムを導入

 アクアイグニス仙台では、施設内温泉棟に再エネ設備を導入し、地中熱、排水熱、排ガス熱、排気熱など施設内のあらゆる排熱を回収しています。地中熱については、地下6メートルの深さに1650uにわたりポリエチレン管をスパイラル状に埋めて地熱を回収するというスリンキー方式で熱を集めており、密閉式のため環境汚染のリスクもなく熱を屋外に排出しないので温暖化の元にもなりづらい方法を取り入れています。回収した熱は蓄熱槽や給湯ストレージタンクに蓄熱され、温泉や床暖房の加温、農業ハウスの室内温調などに利活用することで省エネに繋がっています。
 複数熱の回収利用と再生可能エネルギー使用を同時に行う、東北初となる「熱の地産地消システム」の導入となりましたが、設計期間に1年を要するなど、多くの苦労があったそうです。「熱を効率的に利用するため、利用客の人数やお湯の使い方を想定して、どのくらいの排水熱や排気熱が出るのかを推測するのにとても苦労しました」と鈴木副部長。大竹部長も「あらゆる熱を無駄なく使うため、様々なケースを想定して何度も試算を繰り返しましたが、これまで手掛けたことのない大規模な施設ということもあり、実際は想定通りにいかないこともありました」と苦労を話しました。現状にあったシステムに改修し更なる省エネを目指すため、現在も定期的に設備点検の機会を捉えてデータを収集し設備改修やシステムの変更をしているそうです。
 こうした多くの努力の結果、通常の設備に比べて年間エネルギー使用料を約3/4に抑え、二酸化炭素排出量やランニングコストの削減にも大きく貢献することができました。世界情勢が不安定になりエネルギー資源が高騰する中、関係各所からは「省エネ設備を導入しておいてよかった」と感謝の言葉があったそうです。
 また、新しい省エネ設備は世間から大きな注目を集め、メディアに取り上げられるなど施設全体の認知度向上にも繋がっています。鈴木副部長は、「アクアイグニス仙台が復興のシンボルとしてだけではなく、排熱や再生可能エネルギーの有効利用のモデルとなることを目指していきたいですね」と話しました。

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アクアイグニス仙台の省エネシステム

これまでにない新たな事業の拡大へ

 東北開発コンサルタントは、お客さまの課題解決を支援するサービス「東北電力Bizsync」に登録し、太陽光パネル荷重診断や省エネ補助金申請、建物の基準法や消防法に関する商材を登録。法人営業部とも連携しながら、省エネや建物の困りごとに応える企業として、さらなるビジネスチャンスの創出を狙います。

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 また同社では、アクアイグニス仙台での経験をもとに、栃木県奥日光の温泉施設などの大型施設で省エネに関するコンサルタントを行うなど新たなビジネスを切り開いています。
 エネルギー資源が高騰し、世の中の省エネに関する関心やニーズはどんどん高まっていますが、どんな設備改修が必要か、どんなシステムの設計・構築が有効かはその施設により全く異なります。「当社が長年培ってきた土木建築部門における総合コンサルタントとしての知見やアクアイグニス仙台で経験した大規模施設での省エネ実績を生かすことができれば、多くの施設の省エネにまつわる困りごとを助けられると思っています」と鈴木副部長は話します。同社の挑戦は、今後も続いていきます。