経営理念「くらしのネットワークを支え、地域の安心と 笑顔をつくる」の実現に向けて新規事業を展開する東北送配電サービス。地域の課題解決や社会貢献のため奮闘する同社の取り組みについて、電柱広告部の皆さんにお話を伺いました。
東北送配電サービスは、電柱や用地の管理を行う東北用地鰍存続会社として、電気工事関係を請け負っていた潟gークス、電柱広告事業を行っていた鞄喧k電広社の3社が合併して2015年に設立されました。現在は配電業務や用地取得・土地管理業務、送電業務,変電業務などのほか、宅地建物取引業務や電柱広告販売等の一般市場向けの業務も行っています。
電柱広告とは、電柱に設置する広告のこと。法令上、公道に掲出できる広告は限られているため、電柱広告は特殊な広告といえます。「お店や会社への道案内として活用されるほか、連続して掲出することで刷り込み効果も期待できます」と電柱広告部の坂部賢一主査は話します。歩行者の目線の高さ程度に設置されるため視認しやすく、費用も非常にリーズナブルなどさまざまなメリットがあることから、クライアントの約7割が10年以上掲出を続けているそうです。しかし、カーナビやインターネットの普及、電柱の地中化、広告に関する条例の増加などにより、設置件数は減少傾向にあります。
そこで現在、力を入れているのが「社会貢献型電柱広告」と「電柱標識」です。
「社会貢献型電柱広告」とは、企業名とともに交通安全、防犯、防災、観光振興などに関する内容を掲出するもので、東北電力グループスローガン「より、そう、ちから。」のもと、地域の課題解決に貢献すべく普及拡大を目指しています。「小学校が近くにあることから交通安全を呼びかける広告を掲出している企業もあります」と山水忍調査役。企業にとってもイメージアップにつながるため、設置件数も増えているそうです。
「電柱標識」は、防犯や交通安全の注意喚起の他、津波の浸水深や土砂災害区域、自然災害時の避難誘導を知らせるものです。近年の防災意識の高まりにより各自治体からのニーズが増加しています。「人の命に関わるものなので、クライアントとしっかり話し合い慎重に設置します。電柱標識が普及することで、安全・安心な街づくりに役立つと感じています」と鈴木幸誠課長は力を込めます。
電柱広告に加えて新たな広告として着目したのが、「配電用地上機器ラッピング」と「デジタルサイネージ」です。
2017年から始めた「配電用地上機器ラッピング」は、歩道等に配置された配電用地上機器を活用して、防犯や公共施設案内、観光案内などを表示します。本来、配電用地上機器は屋外広告物の掲示は禁止されていますが、公共的な情報などに限り、道路管理者が認めた場合は掲示することができます。現在は薄手のシートを張り付けていますが、機器表面の凹凸がシートに印刷されたデザインの視認性を低下させてしまうという課題があるため、青森で表面がフラットになるパネル型ラッピングの実証実験が行われています。
また、2020年には東北電力土木建築部と共同で、東北電力ネットワークの仙台・秋田・山形各電力センターのショーウィンドウを活用したラッピング広告事業を開始。2022年にはより多くのクライアントを取り込もうと、仙台電力センターのショーウィンドウ1面を利用したデジタルサイネージも始めました。「学生など若者の通行量も多いので企業からのリクルート広告や仙台圏からの人流を呼び込みたい県内外の自治体や旅行業界からの広告出稿も検討しています」と坂部主査。現在は、グループ企業を中心に6社、1自治体、1団体と広告契約を結んでいます。
さらに、地域社会の安全と安心に貢献することをミッションに、スマート社会の実現に向けて電柱を利用した防犯カメラの販売および設置事業をスタートしました。カメラの商品名は「より、そう、カメラ。」。カメラで撮影した画像はSDカードに保存され、必要に応じてSDカードを取り出して確認することができ、主に通学路や繁華街などでの犯罪抑止に使用されます。通常、防犯カメラを設置する場合は設置工事以外にも別途様々な申請手続きなどが必要になりますが、同社が提供する「より、そう、カメラ。」は現地調査各種手続き、保守管理までワンストップで対応できることが大きな特長です。
一方、大雨の際の水位監視などの用途では「リアルタイムで映像を確認したい」という声が多くありましたが、カメラをネットワークに常時接続した場合、通信費が高額になるという問題がありました。そこで開発したのがSim型です。撮影した画像は記録媒体に保存され、必要なときだけLTE回線を使って映像を回収・確認できるため、通信費を格段に抑えることができます。Sim型は4月から販売開始予定ですが、すでに多くの問い合わせがあるそうです。
近年、台風や大雨による浸水・冠水被害が毎年のように発生していることを受け、自然災害に対する強靭な社会づくりのため浸水検知システム「ウォタピ」も提供しています。「ウォタピ」は、河川や側溝、壁面などに取り付けたセンサーと電柱に設置した受信機(ルーター)で交信し、水位の増加によってセンサーとの交信が遮断されると自治体にアラートメールが届く仕組みです。さらに、高さ方向に一定の間隔でセンサーを付けることで、浸水の有無だけでなく、どれくらいの高さまで水があがってきたのかも分かるようになります。宮城県内では3カ所で実証実験が行われ、そのまま採用となった自治体もあるとのこと。「リアルタイムで状況が分かるので、現場への見回りが不要となるだけでなく、カメラ型ではどうしても必要だった監視するための要員も不要となり、人的負担も軽減されます」と山水調査役。浸水状況のデータはグラフ化されて記録されるため、将来への対策にも役立てることができます。
最後に、皆さんに今後のビジョンや思いについてお伺いしました。
山水調査役
「ご紹介した商材のほか、今後もグループ企業としっかり連携しながら、お客さまのニーズに沿った新たな事業を検討してまいります。」
坂部主査
「電力ネットワーク設備の付加価値を高め、地域に役立つ情報発信などを通じて、地域社会の繁栄,社会の安全・安心の向上に少しでも貢献できるよう、これまで以上に取り組んでいきたいと思います。」
鈴木課長
「電柱広告部門としては、メイン業務である電柱広告看板の設置件数を増加させつつ、あわせて防犯カメラなどの新規事業の販売拡大を目指してまいります。お客さまにとって最適なご提案を地道に重ね、グループ企業のアセットを活用したスマート社会の実現に資するサービス等を提供してまいります。」