公共事業の縮小や少子高齢化による後継者不足など、地方経済が抱えるさまざまな課題にとって有効な対策となるのではないか――。業種を超えた連携によって地域経済の活性化につながる農商工連携には、そんな期待が集まっている。日本の農林水産業には脈々と受け継がれてきた確かな技術があり、工夫次第では大きく発展する可能性を秘めているからだ。
「たとえば東北地方や新潟県には、芸術品のようなりんごやさくらんぼを栽培し、すばらしいお米をつくる技術があります。しかしこれまではその商品の価値が消費者にうまく伝わっていなかったように思われます。農商工連携の狙いの一つは、今あるものの価値を再発見して、新たなブランド化を図ることにあります」と米田教授はいう。生産性の向上や新規事業、販路の拡大には、業種の壁を越えて協力し合うことが不可欠だとして、青森県産りんごの海外販売を精力的に進めている片山りんご(青森県弘前市)を例にこう説明する。
「片山りんごの海外進出にあたっては、日本電気が輸送に関する品質管理の機材を開発し、弘前商工会議所が輸出に要する諸手続きを指導しました。また、輸出国のニーズに合わせて販売するために、JETRO(日本貿易振興機構)からもアドバイスを受けています。りんごは、イギリスなどヨーロッパでは小玉が、中国などアジアでは大玉が好まれるのですが、そうした情報も事業には不可欠でした。つまり、農業の技術に商業や工業のノウハウをミックスしたことで、広く世界で通用する商品価値を生み出すことができたわけです。いわば埋もれていた“宝”に価値をつけ、それを求める消費者にしっかり届ける。これが農商工連携の目指すべき方向性といえるでしょう」。

