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物の重さを計る道具を、まとめて「はかり」と言います。はかりは生活のさまざま場面で役に立っています。
世界で最も古いはかりは、「天びん」です。天びんは、一本の棒(ぼう)の中心を支点(してん)※1として、両はしに皿をつるして、一方の皿に計りたいもの、もう一つの皿に重さを比(くら)べるものやおもりをのせて、つり合いをとって重さを計ったり、比べたりします。
だれが発明したのかはわかっていませんが、今から約7000年前のエジプトの墓(はか)の中から、天びんが見つかっています。また、天びんで金の棒の重さを計る様子をえがいたへき画が、エジプトに残されています。
※1/ 天びんやてこなどで、さおや棒を支(ささ)える点

提供:秤乃館
今から約2000年前のローマ時代になり、品物の売り買いが活発になると、「さおばかり」が発明されました。さおばかりは、一本のさおばかりと一個(こ)のおもりで、さまざまな重さのものを計ることができました。持ち運びにも便利だったため、広く利用されました。
さおばかりのしくみ
さおの一方に計りたいものを引っかけるかぎや皿をつける。その近くにひもをつけて支点とする。かぎや皿の反対側(がわ)には、おもりをかけておく。
かぎに計りたいものを引っかけ、おもりをさおが水平になるまで動かす。すると、てこの原理がはたらいてつり合う。さおには、重さを表す目盛(めも)りがふってあり、さおが水平になった目盛りを読み取れば、計りたいものの重さがわかる。
「さおばかり」は、「てこの原理」を利用しています。てこは、小さな力で重いものを動かせる装置(そうち)です。てこには、支点(力点から作用点に力を伝えるための固定した点)、力点(力を加える点)、作用点(力がはたらく点)があり、支点から作用点までが短く、支点から力点までが長いほど、小さな力で大きな力を生むことができます。さおばかりは、支点からかぎ・皿(作用点)までが短く、おもり(力点)の位置を移動(いどう)させることができました。そのため、支点から、おもり(力点)を近くしたり、遠くしたりすることで、一個のおもりでさまざまな重さのものを計ることができました。
しかし、天びんもさおばかりも、つり下げたかぎに引っかけたり、皿にのせたりして計るようにできていたので、大きなものは計ることができませんでした。また、皿の場合はつり下げた皿の中心にものを置(お)かなければ正確(せいかく)に計ることができませんでした。
こうした、天びんやさおばかりの欠点を解決(かいけつ)したのが、17世紀のフランスの数学者ロバーバルです。
「天びんもさおばかりも、つり下げた皿に入れるので、大きなものは計ることができない。皿を下から支えるようにして、ものをのせるようにすれば、大きなものも計ることができるのではないだろうか。」
ロバーバルは考えました。
そして、1669年、ロバーバルは、天びんのような一本の棒ではなく、平行四辺形の構造(こうぞう)で、計るものやおもりを支える仕組み(ロバーバル機構(きこう))を思いつきました。
ロバーバル機構を使えば、計るものの位置に関係なく、ものの重さだけを比べることができました。
「この構造なら、計るものやおもりを皿のどの位置に置いてもバランスがくずれない。」
ロバーバルは、喜んだことでしょう。
そして、ロバーバル機構を利用した、上皿天びんが発明されました。上皿天びんは、計るものやおもりを皿のどの位置に置いても計ることができるうえ、計るものやおもりをつり下げた皿に入れるのではないため、より大きなものを計ることができるようになり、商品の計り売りをする商店はとても助かりました。ロバーバル機構の原理は、現在の台ばかりなどにも利用されています。

提供:東洋計量史資料館(東洋計器)
1770年には、イギリスのサルター社が「ばねばかり」を売り出しました。ばねのはしについたフックに計りたいものをつり下げると、計りたいものの重さによってばねがのび、重さを計ることができます。
現存(げんそん)するもので最も古いばねばかり(イギリス製(せい))。
提供:秤乃館
昔の日本でもはかりは使われていました。江戸(えど)時代は、江戸(東京)と上方(かみがた・京都や大阪)で、使用するお金がちがいました。江戸では金貨(きんか)、上方では銀貨(ぎんか)が使われていたため、江戸と上方で商品を売り買いするときは、金貨と銀貨を交かんしていました。
しかし、銀貨は、形や重さがふぞろいだったため、銀貨を天びんで計って両替(りょうがえ)していました。金貨と銀貨を交かんするのは両替商の仕事で、現在(げんざい)の銀行のようなはたらきをしていました。両替商は、天びんを使って、お金の重さを計り両替していました。

提供:東洋計量史資料館(東洋計器)

近年は電気の力で重さを計る、電子天びんが開発されました。
電子天びんは、高い精度(せいど)で測定(そくてい)できることや、計りたいものをのせるだけですぐに重さを計ることができるため、実験や研究のために薬品などを扱(あつか)う研究施設(しせつ)や、薬の量を測ったり調合したりする薬局など、さまざまなところで利用されています。
最新の電子天びん。パソコンにつないで、データを送ることができる。
提供:島津製作所
また、最新の体重計では、体重のほかに、肥満(ひまん)度を表す数値や、体を動かすときに使う筋肉(きんにく)(骨格筋(こっかくきん))が体重にしめる割合(わりあい)を測定してくれたり、パソコン上で、測定した体重のデータをグラフにして、ダイエットのサポートをしてくれるなど、ただ体重を計るだけでなく、さまざまな機能(きのう)が加えられています。
最新の体重体組成計。体重以外にも、肥満度を表す数値などが測定できる。
提供:オムロン ヘルスケア
イラスト:鳥飼規世


