地域を支えるものづくりMAGAZINE「ものをつくるしごと」サイトマップものづくりのココがおもしろい〜職人が語る楽しい仕事
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皮革工芸職人 金属バフ研磨(けんま)職人
和菓子職人
私たちのまわりには、さまざまな技術を持ったものづくり職人がいます。彼らが語ってくれた、ものづくりに対する情熱や思い・・・。さあ、「ものをつくるしごと」のおもしろさを探してみよう。


桐(きり)たんす職人

伝統を生かしながら、
新しいものづくりに
向かっていきたい。

桑原隆さん

新潟県加茂(かも)

くわばら・たかし
昭和43年、新潟県加茂(かも)市生まれ。新津(にいつ)工業高校卒業。2年間の修業を経て、実家の(有)桐の蔵に入社。職人として伝統の総桐タンスをつくり続けるとともに、現代的な「桐チェスト」を開発。テレビ、新聞、雑誌など多くのマスコミに取り上げられる。現在、(有)桐の蔵社長。
参考……(有)桐の蔵
http://www.1kirizo.com/

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満足できる仕上がりに、桑原さんの顔に笑みが浮(う)かぶ。

 シュッ、シュッ。リズミカルな音とともに、薄(うす)いカンナくずが削(けず)られて出てくる。木の香りが工場内を包んでいた。全国の桐(★1)たんす製造の70パーセントを占(し)める新潟県加茂(かも)市で、3代続く桐たんすの製造メーカーである有限会社桐の蔵。現在、工場は田上(たがみ)町の工業団地にあるが、以前は自宅のすぐ前に工場があり、社長の桑原隆さんは学校から帰ると工場へ行き、板切れやおがくず(★2)で遊んだという。だから、ためらいもなくこの世界に入った。
  「伝統を生かしながら、ほかでやっていないものに、新たに挑戦(ちょうせん)していけるのがこの仕事のおもしろいところ。それをお客さまが認めてくれたときは、さらに大きな喜びがあります。買ってくれたお客さまは、何十年も使ってくださるわけですから、手は抜(ぬ)けないですね」。桑原さんには、「伝統にあぐらをかかないこと(★3)」というこだわりがある。伝統だけにこだわると、新しいものづくりができないからだ。桐の蔵では〈桐チェスト〉(★4)と名づけた現代の暮らしに合うたんすも製造し、好評を得ている。


★1 桐 たんすや下駄(げた)などをつくるときに用いる木で、軽くてやわらかい。
★2 おがくず 材木をノコギリでひいたときに出るくず。
★3 あぐらをかく するべき努力をしないで、いい気になること。
★4 チェスト 高さが胸ぐらいまでの小型の洋風整理たんす。

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現代の暮らしにも合うようにと、桑原さんたちが開発した洋風のたんす「桐チェスト」。
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指先に神経を集中させ、ノミを打って削っていく。
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工場の横の敷地(しきち)に立てかけ、乾燥させている桐材。

 窓の外を見ると、工場のすぐ横にたくさんの桐材が立てかけてあった。桐材は屋外で5、6年渋(しぶ)(★5)をぬきながら干し、さらに室内で1年ほど干し、ようやく材料として使えるようになる。この間の管理が最も大切で、渋が抜けていなかったり、乾燥(かんそう)が不十分だと板が変色したり、狂(くる)いが出たりする。
 技術を身につけて、10年でようやく一人前と言われる世界。この仕事を始めて18年の桑原さんだが、「まだまだ。100パーセント満足いくものはなかなかできない」と言う。けれど、常により良いものづくりを求め、向上心を持って仕事に取り組むからこそ、技術も身についていくのだと思う。
 たんすの仕上げをしていた桑原さんが、静かに引き出しを入れると、紙1枚が入るすき間もないほどピタリと収まった。「引き出しがスッと入ったときが一番気持ちいい。自分のつくったものが、ずっと使い続けられるってすごいことですよね。この仕事の一番の魅力(みりょく)ですね」。生き生きと話す桑原さんを見ていると、いかにものづくりがおもしろいかがわかる。


★5 渋 材木からしみ出る赤黒い液。

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出荷前の製品をチェックしながら、カンナで削って最終仕上げをする桑原さん。
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それぞれが高い技術を持つ、桐の蔵のスタッフのみなさん。


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