◎復興支援グッズ

onagawa fish 女川町のスタッフが手作業で作製している木製キーホルダーです。

木の種類によって表情が変わります。上からウォルナット、オーク、メイプル

【小さな復興プロジェクト】実行委員会 湯浅輝樹氏

【小さな復興プロジェクト】実行委員会 湯浅輝樹氏

女川町発手作りキーホルダー

onagawa fish

女川町のスタッフが手作業で作製している木製キーホルダーです。

女川での第二の基幹産業を目指して

  • 【小さな復興プロジェクト】実行委員会 合同会社 Y.M.O
  • 代表社員 湯浅輝樹氏

宮城県の太平洋沿岸に位置し、リアス式海岸の良質な漁港がある女川。さまざまな魚介類が揚がり、中でもサンマは全国でも有数の水揚げを誇ってきた。このように水産加工を基幹産業としてきた分、津波による街のダメージは相当なものであった。“このままではいけない。女川に新たな産業を”と立ち上がったのが、この【小さな復興プロジェクト】だ。

女川の人たちによる手作りキーホルダー

女川にある製作所で手作りされている。この工程は魚のかたちになったものをヤスリがけし、きれいに磨いているところ

女川にある製作所で手作りされている。この工程は魚のかたちになったものをヤスリがけし、きれいに磨いているところ

もともと女川生まれでもなく、ゆかりもなかった実行委員代表の湯浅さん。彼は宮城県を中心に、地域活性化を目的としたイベントの企画・運営を行なっていた。その仕事でお世話になっていたのが、マリンパル女川の山田さん。その方へのご恩から、何とか女川を再生させたい、という想いからこのプロジェクトはスタートした。

「お世話になった山田さんの無事も確認でき、震災後1ヵ月経って女川に会いに行きました。でも街を見て、言葉が出ないというのはこういうことか、と思い知らされました。何をしていいのか、何をお手伝いできるのか、最初はまったく見えませんでしたね」。そこに、一緒に仕事をしていたメンバーから出てきたアイデアが、簡単な工具とシンプルな作業でつくれる木工キーホルダー。女川なので、魚の形はどうか。そこで生まれたのが“onagawa fish”であった。

「プロトタイプを持ち込んで、いろんな避難所を周って役所の方に声をかけました。つくる機械は持ち込みますし、簡単な作業でできます。避難所の皆さんでつくってみませんか?と。でも、時期尚早だと断られ続けて」と、苦笑いで話してくれた湯浅さん。そこでも手助けしてもらったのが山田さんであった。倉庫を作業場として貸してもらい、地元の人たちに声をかけてキーホルダーをつくる方の募集をかけ、ようやく【小さな復興プロジェクト】はスタートしたのであった。

女川の新たな基幹産業を目指して

木工キーホルダー“onagawa fish”が、果たして売れるのか?「商品そのものに魅力があるのか、売れるのかを調べるために、復興支援グッズであるということを言わずにテスト販売をしました。それが好評で、お客さんが結構買ってくれたんです」と、そこで自信を深めた“onagawa fish”は、商品の質の高さからも順調なスタートを切った。マスコミの取材も、ひとつ入るとまたひとつと、情報は拡散し売り上げは伸びていったのだ。

現在の従業員は11人、そのほとんどが女性だ。もともとは水産加工の工場などで働いていた彼女たちにとって、新しい働き場所として機能していることがこのプロジェクトの特長でもある。「女川は、もともと漁業と水産加工が中心の街。それが津波で壊滅的な被害を受け、今も水産加工工場は動いていません。女川の人口流出も激しく、この土地に仕事がなければ、街自体がどんどんすたれていくのは目に見えています」。

【小さな復興プロジェクト】が目指すのは、“onagawa fish”を通して女川の新しい産業の育成。「木工産業がそのひとつとなればいいな、という想いで取り組んでいます。もちろん、そのためには一過性で終わらせていてはダメ。今は復興支援という動きもあって、皆さんにも注目いただき商品も売れていますが、いずれは落ち着いてきます。その時に向けて、商品力を高めるためにも、新しいアイテムの開発など、やるべきことは山積みです」。

国内はもとより、ドバイ、カナダなどでもアイテムを売り、海外への販路も視野に入れているという“onagawa fish”。また、このプロジェクトを通してデザインTシャツを販売したり、その取り組みは広がっている。それはすべて女川に住む若い人たちのアイデアであったりもする。「この街に住む、特に若い人たちからどんどんアイデアが出て、それが形になり、彼らが注目を浴びるように仕向けるのも私の仕事。10年、20年経っても、若い人たちがこの街で仕事をして、ずっと住んでいたい、そんな女川になってはじめて復興、もしくはそれ以上の街になったと言えるのではないでしょうか。それまで私は、このプロジェクトから逃げないで、真正面から取り組んでいくつもりです」と笑う湯浅さん。【小さな復興プロジェクト】のゴールはまだまだ遠い。私たちは、この“遠い”という事実を忘れないこと、それが大切なんだと感じさせられた。

女川でまた魚がたくさん捕れるまで

女川町の製作所で一つひとつ手作りし、製作所のとなりで販売。また、インターネットを通じても購入できます。
「onagawa fish」の他にも、レザーブレスやステッカー、Tシャツなどもあります。

現地製作・販売所
所在地: 牡鹿郡女川町浦宿浜字浦宿81-75
作業及び販売日: 月・火・木・金・土(祝日を除く)
作業及び営業時間: 10:00〜15:00(潮位等により変動の場合があります)
2012年3月取材