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エコで快適な畳のある生活を見直そう!〜畳屋さんが勧める本物の畳と畳のある暮らし〜
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国産のい草を使った畳がおススメ

畳は日本の一つの文化

 冬、畳のある部屋で、こたつを囲む家族団らんのひとときはいいものですよね。畳は一つの文化といえるほど、日本人の暮らしに溶け込んだ存在です。
 赤ちゃんが「はいはい」するにしても、畳は適度なクッション性があるのでけがをしにくく、発育期の子どものバランス感覚を養うのに効果的なことが分かっています。 また畳表の凹凸が手のひらを通して脳に刺激を与え、しかもい草の抗菌効果で白癬菌が繁殖しづらいといわれていますから、子育てには畳の部屋がベストであるといえます。 加えて音の響き方も、い草の香りも、共に心地いいものです。

 い草は縄文時代から薬草として使われていたようです。現在の畳の形になったのは奈良時代で、1,300年以上の歴史があるといわれています。 ちなみに、東大寺正倉院にある聖武天皇(701-756年)が使用した「御床畳」(ごしょうのたたみ)は、現存する最古の畳といわれています。
 日本の厳しい気候風土の中で、より快適な暮らしを求めて生み出されたのが畳なのです。

激減した国内のい草農家

 長らく庶民にとって「高嶺の花」だった畳が一般に広く普及したのは、住宅建設が急速に伸びた昭和の高度経済成長期です。 畳表(たたみおもて)に使われるい草は、長らく熊本県を中心としたい草農家が生産を担っていましたが、需要が増えるにつれ、 価格の安い中国産のい草が大量に輸入されるようになり、国内のい草農家は激減してしまいました。今や日本で流通している 畳の実に80%以上が中国産のい草を使用しています。
 そこで、私は、中国産に比べ、品質や耐久性に優れた国産のい草を使った畳の普及を目指し、 全国の畳店に呼びかけ、2007年に畳屋道場株式会社を設立し、純国産の独自ブランド「正直たたみ」を広げる活動を開始しました。

最近の住まいの床材といえば、洋室が増えたこともあり、フローリングが一般的になってきていますが、 畳を敷いた空間は、やはりホッとするという人も多いようです。 国産の畳にこだわり、日本の畳文化の継承・普及に奔走する鏡畳店(山形県寒河江市)の代表で畳職人の鏡芳昭さんに、 「エコで快適な畳のある生活」をテーマにお話を伺いました。

畳職人
鏡 芳昭さん

プロフィール

1972年山形県寒河江市生まれ。有限会社鏡畳店代表取締役。 山形県立山形工業高校機械科卒業後、家業の畳店を継ぐため、茨城県畳高等職業訓練校で畳の手縫いの修業を積み帰郷。 国産(熊本県八代市産)のい草を使用した畳の販売・畳替えを促進させるため、2007年全国の志のある畳職人が加盟する「畳屋道場株式会社」を設立。 日本国内はもとよりヨーロッパやインド、アメリカなどへも良質な国産畳の販売を展開。2013年国宝青井阿蘇神社(熊本県人吉市)の畳の表替えを 「畳屋道場」として実施。 2016年10-11月「LINK OF LIFE エイジングは未来だ 展」に資生堂などとのコラボにより、畳表を使用した斬新な椅子を出品し、話題となる。

 
知ってなっとく!①

畳のつくり

 畳は芯材になる板状の畳床をい草を編み込んでつくった畳表でくるみ、畳縁で縁取りしてつくります。 この中で、私たちがいつも触れている畳表は、畳の品質を決める重要な部分です。

畳工事の種類

1) 新畳 … 部屋の寸法に合わせて、全て新しい材料で畳を製作します。

2) 表替 … 今、敷いてある畳の畳床はそのまま使用し、畳表と畳縁を新しくします。隙間・へこみなどをできる範囲で修理いたします。

3) 裏返し … 今、敷いてある畳の畳表の裏面を使用します。畳縁は新しくします。隙間・へこみなどをできる範囲で修理します。

 
知ってなっとく!②

い草の優れた特性

 い草の断面を拡大して見ると内部は「灯芯(とうしん)部」と呼ばれるスポンジ状の組織がぎっしり詰まっていて、クッション性があります。
 このスポンジ状の組織がフィルターのようになっているので、空気をきれいにしたり、空気中の湿気を吸ったり吐いたりして湿度を調整する役割をします。
 そして、空気がたくさん含まれているため、保温、断熱効果があり、まるで羽布団みたいに適度な温度を保ちます。
 い草には特有の芳香がありますが、主成分の「フィトンチッド」には、強力な消臭・抗菌効果があります。このほかバニラの香りも含まれていて、 主成分である「バニリン」には鎮静効果があり、ストレスを軽減してくれます。

 

エコでとても美しい畳

国産の畳を推奨する理由

 現在、畳表に使用されている国産い草の98%が熊本県八代産で、今年の作柄は地震の影響もなく良好とのことです。 国産のい草を使用した畳表は、使えば使うほど艶が出て、2年くらいかけてゆっくり美しい黄金色に変化します。 そして人間の皮膚と同程度の反射率を維持することから、見た目にも優しく、い草の皮質部も丈夫なため、 畳表を裏返して使用することで、畳表の両面で通常30年くらいは十分使えます。 また1畳当たり平均30kgもの稲わらを重ね合わせて圧縮し、6センチの厚さにした畳には、 断熱や防音効果もあり、適度なクッション性と穏やかな調湿効果と相まって、冬暖かく、 夏涼しく過ごせますから、日本の気候に合ったとてもエコな床材といえます。
 国産と比べ、中国産のい草は、灯芯が未成熟でスカスカのもの多く、 防虫・防カビ剤や着色料が使用されており、い草本来の香りが感じられません。
 純国産の本物の畳は、清潔が保てて掃除も楽、 カビやダニの発生も少ないので、小さいお子さんのいるご家庭ほど使っていただきたいと、強く願っています。

 ちなみに、畳を掃除する際は、ほうきで掃くことをおススメします。 中でも山形県庄内町の「槇島(まぎしま)ほうき」は優れものです。脂っ気があって、畳表に優しく、ツヤが増します。 なにしろ掃く時の音がいいのです。何十年と長く使える上に、実用を兼ねた嗜好品といってもよく、 肢までほうき草で出来たつくりは、置いておくだけでもインテリアになります。
 早起きして「すっ、すっ」と、ほうきで畳を掃く音で始まる1日は、気持ちがいいものです。 ほうきも畳もパーツとしてではなく、物語として売ることが大事だと私は思っています。

 
知ってなっとく!③

畳表の日焼けテストによる比較

 写真の畳表は上が中国産で下が国産(八代産)。上の中国産は日に焼けた部分の黒ずみがかなり目立ちます。これが部屋全体となると、 相当暗く感じられます。下の国産の畳表は均一に日焼けし、美しい黄金色に変化していることが分かります。

畳をより身近なものに

 

現代人のライフスタイルに寄り添う

 全国には現在約9,000の畳店があります。その3%が国産のい草の畳を扱ってくれれば八代のい草農家は存続できると確信したことが、 2007年の畳屋道場の設立に結びつきました。
 ただこれまでどおりの畳だけでなく、現代人のライフスタイルに寄り添い、「い草の香りっていいな」「畳のある空間は落ち着くなあ」 と言っていただけるような製品開発が必要だと感じていました。
 そうした中で、若手の社員たちと共に考え出したのが、い草の束を棒状にして連結させたオリジナル商品の 「いぐさロール」で、これを使用したベンチやベッドなどを生産し、国内外で販売しています。また、い草を詰め込んだ枕やクッションも開発して、 い草や畳表をより身近に感じていただけるよう、常に新たな展開を進めています。
 また、資生堂からのお声がけにより、畳表を使用したこれまで見たこともないような斬新な椅子を制作し、 SHISEIDO THE GINZAで行われた「いい年の重ね方」をテーマにした「LINK OF LIFE エイジングは未来だ 展」に出品しています。

(写真左) いぐさロールを使用したベッド

(写真右) い草を詰め畳表を表地に使用した枕とクッション類

「LINK OF LIFE エイジングは未来だ 展」出品に
向け試作中の椅子。座り心地はバツグン!

 
知ってなっとく!④

畳をより身近なものに

 い草はもともと大地にしっかりと根を張る「農作物」です。そのことを知っていただこうと鏡さんが 「畳屋道場」として開発したのが「い草のパスタ」です。
 国産の食用として特別に栽培したい草の粉末とデュラムセモリナ粉を使用し、丁寧に仕上げたパスタは、 ゆであがると若草色になりモチモチした食感があります。 い草特有の爽快な香りと食物繊維やポリフェノールも豊富なヘルシーなパスタを、 ぜひ一度召し上がっていただきたいと思います。

日本文化を引き継ぐ次世代のために

伝統を守ることは革新し続けること

 先日、横浜市内の小学校で畳の表替えの実演をしてきました。子どもたちに畳を実際に見てもらうことが大切だと思っています。 言葉だけではなく五感で感じてもらう機会を増やしたいと考えています。 そうしないと大人になってから畳を使うという発想自体が生まれてこないと思うからです。
 今後、国内全体の畳需要はさらに下がるだろうと思いますが、八代産のい草のような本物しか残らないと思っています。 畳1枚の畳表と稲わらで約500ミリリットルの湿気を吸うといわれていますから、8畳で4リットルになり、 高温多湿の気候風土に合った省エネにも寄与する優れた床材ですから、暮らしの中で大いに活用していただきたいと思っています。
 私たち畳店も、「いぐさロール」を使用した家具や「いぐさピロー」のような、さまざまな商品をリリースしていく予定です。
 パリのエッフェル塔そばの日本文化会館には「いぐさロール」の常設展示コーナーを設けました。年明けにはアメリカのイリノイ大学の茶室の畳を手で縫って畳替えをしてまいります。 畳に対する関心はアメリカやヨーロッパはかなり高いと感じています。茶道、華道、柔道・・・など、「道」が付く日本文化は全て畳の存在なくして成立しません。
 「伝統を守るということは革新し続けることだ」と自分に言い聞かせ、日々新たな気持ちで畳と向き合っていきたいと思っています。

パリ日本文化会館に常設展示されている「いぐさロール」 (写真提供:鏡畳店)

イリノイ大学日本館の茶室 (写真提供:鏡畳店)

 
●ひとこと

 畳店の4代目として生まれ、家業を継ぐことが当たり前だと思っていました。親に聞くと幼い頃から「畳屋になる」と言っていたらしいのです。 高校卒業後、茨城県畳高等職業訓練校に入学し、2年間、坊主頭で畳漬けの生活を送ったことで、体に技術が染み付きました。 1991年、卒業と同時に鏡畳店に入社しました。
 当時はハウスメーカーや工務店からの受注も多く、機械を導入し量産体制を整えた時期でした。 しかし90年代後半から住宅着工件数の減少やフローリング主体の住宅が増えて日本人の“畳離れ”が進み、会社の業績もジワジワと落ちてきました。 気がつけば、熊本県八代市を中心とするい草生産農家の数も減り、畳業界は構造的な衰退産業になっていました。
 その原因はわれわれ畳業界が純国産の天然い草でつくった畳の本当の良さを知らず、お客さまにも伝えてこなかったからだと思います。 まるでシャリのことも知らず、ネタを見る目もなくすし屋をやっているようなものです。
 2006年から熊本県八代市のい草農家にホームステイし、い草の生産体験を始めました。実感したのは、本当にいい畳は、草の青い香りと、 バニラと土の甘い香りがします。2年がかりで行うい草の栽培・収穫がいかに重労働かということも身に染みて感じました。これは現地で体験して初めて分かったことです。
 こうした経験を生かしながら、日々、畳の新しい可能性を探っています。

 

2016年11月掲載

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