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よりよい住空間づくりのヒント集! 〜これからの暮らし方・住まい方〜
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暮らし方、住まい方を見直す

森林資源やエネルギーを丁寧に使う暮らし方〜東日本大震災がわたしたちに問いかけるもの〜

 自分にとって何が必要で、どういう生き方が幸せか、自分なりに答えを見いだし、生活していけたらいいなと、常々僕はそう思っています。
 現代社会では、衣食住のあらゆる領域で、どんどんモノがつくられ、捨てられている。こうしたことが平然と行われている。われわれはどこか麻痺しているのではないか? という大きな疑問があります。
 2008年にパリで発表した木が溶けているようにデザインした棚や椅子があります。ヨーロッパの人たちは、「溶けてはいけないものが溶けた。尾方の言いたいことはすごくよく分かる。氷河だって溶け始めている」と評価してくれました。

フランス国際見本市「MAISON&OBJET」に出品された
<MeltingShelf&MeltingChair>
(写真:Sadao Hotta/© Sadao Hotta)

 これはデザインの遊びでもなければアンチテーゼでもありません。日々考えている事が自分のモノづくりに自然と込められたまでです。
 現実を直視すれば、生活のために割り箸をつくっている国もあるわけです。スイッチ1つであかりが点灯し、お風呂が沸くのが当たり前だと考えていた生活は、東日本大震災で一時ダウンし、不便な生活を余儀なくされました。電気は比較的早く復旧しましたが、われわれの生活はスーパーマーケットなども含め、様々なライフラインの上に成り立っているという事実。こうしたことをいろんな角度から理解し、僕たちは森林資源やエネルギーを丁寧に使うような暮らし方をすべきではないかと思います。

仙台市郊外、泉ヶ岳山麓の森の中に設計事務所と工場を構え、オリジナル家具製作をはじめ店舗や住空間のデザイン、設計・施工で世界的な評価を得ているOGATA Inc.の尾方釿一(きんいち)さん。近年は熱心な"OGATAファン"からの住宅リフォームや新築の依頼も増えているといいます。よりよい住空間づくりについて、暮らし方や住まい方を見直す視点を含め、尾方さんにお話を伺いました。

インテリア・空間デザイナー
尾方 釿一 さん

プロフィール

1970年宮城県仙台市生まれ。本名・尾形欣一。有限会社オガタ代表取締役。建築業の現場を経験し、デザイナーとしての様々なアートワークを経て96年独立。オリジナル家具のデザイン・製作、店舗や施設の空間デザイン・施工、住宅設計・施工など、デザインと製作を一貫して行う展開で独自性を追求。特にオリジナル家具は、実用的かつ斬新なデザインと、細部まで妥協のない緻密な加工技術は、 その完成度の高さと相まって国内外で高い評価を得ている。
主な仕事:
「ロミ・ユニ コンフィチュール」
「SOSU MIHARAYASUHIRO
(現MIHARAYASUHIRO)」
内装設計施工(1998-2007年)、「Notre Chambre」内装設計施工など多数。オリジナル家具代表作に「BEAN STOOL」「BOX STOOL」
(いずれも2009年パリ国際見本市メゾン・エ・オブジェ選考展示品)など。

 

暮らし方、住まい方を見直す

 日本はこれまで住宅やマンションをどんどん建てて、売ってきました。でも少子高齢化が進み、増え続ける空き家が社会問題になっています。そろそろ新築一辺倒の発想から脱却すべきです。空き家を解体するにもリフォームするにもお金がかかります。昔の構造体で作られている場合、どう耐震化を図ってリフォームするかも課題です。

 エコを考え、暮らし方、住まい方を見直すという意味では、パリやベネチアといった都市のように、リフォームしながら住まいを長く使い続けるという視点が欠かせません。今そういう時代に入ってきています。
 僕がリフォームする場合、住宅でもお店でも、使えるものがあったら活用するのが当然だと思っています。壁があったらその壁を生かす方法を考えて節約する。美容室ならシャンプースペースの位置を動かすとお金がかかるから、そこはそのままにして見た目だけ変えましょうと提案する。エアコンが付いていれば可能な限りメンテナンスして生かす。使えるものがあれば生かすことがエコにつながります。これからは、貸し手も借り手も、売り手も買い手も、モノを使い捨てにしない方法を模索すべきと感じています。

 
知ってなっとく!①

省エネ、省資源のポイント

 四季があるため、日本の省エネはコントロールが難しく、奥が深いといえます。もともと日本人は勤勉ですから、個人個人のレベルではしっかり省エネを心がけていると思います。
 省エネのポイントを一言でいえば、「冬暖め過ぎず、夏冷やし過ぎない」ということに尽きます。いまの住宅は高気密・高断熱ですから、冷暖房の効きもいいので、つい暖め過ぎたり冷や過ぎたりしがち、ということを覚えておかれるとよいと思います。冷暖房装置のタイマーを上手に活用するとか、冬、足元を暖める部分暖房を併用するなど、工夫してみてはいかがでしょうか。

屋根窓が印象的な二世帯住宅。
物干し台までデザインされています
(設計・施工:OGATA Inc.)

 住宅をつくる側からの省エネのアプローチとしては、天窓付きの住宅を提案したり、家じゅうの空気を循環させ、住空間全体の温度差が少なくなるよう工夫しています。
 また省資源の視点からいえば、家具の使い捨ても見過ごせません。自分が何を大切にしていきたいかを見極めて、それに合うもの買ったら長く使う。そういう丁寧な暮らしが省資源に結びついていくのだと思います。

 

モノづくりの視点

キャリアのスタートを振り返って

 僕は16歳から20歳くらいまでモトクロスに夢中で、プロを目指そうと思ったくらいでした。ただ、プロで活躍できるのはほんの一握りに過ぎない。潔くモトクロスの道を諦め、自動車工場で働き、バイクにつぎ込んだお金を親に返し、余ったお金で渡米しました。そして、自分の得意分野は絵を描くことやモノづくりの領域だとずっと思っていましたから、帰国後、知人の紹介で工務店に就職しました。建物だけでなく家具もつくってしまうという当時としては一風変わった工務店でしたが、これが僕の現在に至るキャリアのスタートとなったのです。その後、塗装会社やフリーのデザイナーを経て20代後半に弟を引き連れて起業しました。

デザインからモノづくりまで全て行う

 やがて、家具づくりと併せて、店舗や商業施設などのデザイン、設計・施工まで一貫した業務を行うようになり、2007年に、ここ泉ヶ岳山麓に事務所と工場を構えました。近くを流れる沢の水面に木漏れ日が当たる光景が好きです。いつも周囲の木々が揺らぎ、四季ごとに景色が変化し、刺激を受ける点も魅力。泉パークタウンから車で15分くらいなのに、空の色や空気はまた一段と違います。
 僕の仕事のスタイルのいちばんの特徴は、デザインした僕がモノづくりまで自社で行うということです。家具や建具などを自分の工場でつくって納めますから、お伝えしたイメージのものをお届けすることができるのです。

工場のすぐそばにある緑と水辺の空間
(写真提供:OGATA Inc.)

 
知ってなっとく!②

新材で経年変化の良さを表す

 僕の場合、新しい木をあえてガサガサにして古っぽく見せています。それがうちのカラーともなっています。どこそこにある何百年も前の教会の建物をバラしてきたら、高くなるし、必要な部材が揃わないこともあります。古っぽくつくることで、経年変化の良さを表しています。

住宅での施工例。全て新材。
梁の中には間接照明の光源が埋め込まれています
(設計・施工:OGATA Inc.)

 梁材の古材など、素晴らしい素材の物を見受けることもありますが、それらは囲炉裏があったり、通気の良い環境下だった生活風土の中で使われていたものなので、いざ現代の住環境での使用となると、カビや虫の問題など、注意しなければならない点も多くあります。古材は事前によく調べてからお使いになることをおすすめいたします。

 

モノづくりのポリシー

 住宅にしても店舗にしても、僕が独りよがりで「こんなのどうですか」と言っても意味がないと思っています。お客さまの話を丁寧に聴き、こまめに調整し、信用してもらってご提案する。お客さまの要望と僕の提案が相互にうまい具合にバランスすることによってこそ、お客さまにとってのいいものとなると思っています。仕事には常に期限があり、予算があり、要望があるわけで、そこに120%の思いを込める。お客さまの要望の延長上にあることを提案して、「こういう考えもあるんだな」って認められた方がいい。制限があるから発想が湧いてくるんです。
 また、「お客さまとの距離が近い」という声を聞くことがありますが、どんな仕事でも「人と人」との関係が大切だと思うので、これは極力保っていきたい形です。

 

利用者がくつろげる空間づくり

医療施設の内部とは思えない柔らかな雰囲気の空間です
(写真提供:統合メディカルケアセンターTree of Life
/設計・施工:OGATA Inc.)

 10年前くらいから年々、病院関係やグループホームなどの内装工事の仕事も多くなってきています。病院らしくない空気感とか患者さまに対するホスピタリティが求められる時代になったようです。
 僕としては「病院や施設は無機質」というイメージを変えたいと思っています。グループホームでいえば、入居される方がくつろげるような空間にしたい。いい意味で社会が熟成し多様化してきている証拠だと思います。

 
知ってなっとく!③

部屋の雰囲気を変える前にすべきこと〜シンプルで安全な生活のために〜

 いろいろな意味で「変える」というのは、重要だと思います。壁紙を変えたり、椅子のカバー変えたりするだけで、お部屋の雰囲気は変わります。ここで一つ重要なことがあります。
それは「変える前に整理整頓を!」ということです。
 整理整頓の基本は、毎日の掃除です。掃除することは「点検」につながります。モノを大事に使う丁寧な生活にもつながります。

住宅のダイニングルーム。整理整頓のお手本のような空間です
(設計・施工:OGATA Inc.)

 以前、訪問先でトラッキング現象に遭遇したことがありました。これは、コンセント周りに付着したホコリが空気中の水分を吸収することによってプラグの両刃の間にスパークが発生し、発熱・発火を起こす現象のことで、火災の原因になることもあります。ですから、掃除には事故を未然に防ぐ「点検」という側面があることを認識していただきたいと思います。
 整理整頓と掃除で部屋がスッキリすれば、花一輪も映えるというものです。この際、お部屋だけでなく、引き出しの中、バッグの中なども整理整頓してみてはいかがでしょうか? モノを探す時間が減り、暮らしの効率もアップしますよ。

 

快適な住空間づくりのヒント

体に優しい珪藻土〜「いい住みあんばい」とは〜

 室内の壁の仕上げには、珪藻土を使用することが多いです。珪藻土とは植物性プランクトンの化石が堆積してできた「土」です。昔の土壁もそれに近いものです。珪藻土を使用する理由は見た目の風合いのよさだけでなく、調湿性や脱臭性に優れた体に優しい塗り壁材だからです。
 塗り壁材の原料として珪藻土が注目され出したのはここ20年くらいです。新建材などによる弊害を背景に、時代が発した警告と僕は捉えています。本来、健康的で安全・安心な空間であるべき住まいが、人の健康を脅かすようであってはなりません。
 二世帯住宅の例ですが、親御さんから「住みあんばいがいいんですよ」と言っていただいています。このあんばいよさは珪藻土の壁によるところも大きいと思います。体感して初めて分かることかもしれません。健康管理は予防対策が大切。その要素の一つとして住まいがあることを強調しておきたいと思います。珪藻土は日本の気候風土に合った、自然の"ちょうどいい"ものだと僕は思います。

 
知ってなっとく!④

珪藻土の壁のメリット

珪藻土で仕上げた壁。自然な風合いが魅力
(設計・施工:OGATA Inc.)

 生きて呼吸する壁、自然素材の代表として近年定着しつつあります。珪藻土とは、プランクトン(藻類)の死骸が海底や湖底に長年にわたって堆積してできた粘土状の泥土のことです。昔から七輪の材料などとしても親しまれ、またビールのろ過材としても使用されています。無数に並ぶ「超多孔質構造」を持ち、調湿・防露・断熱・遮音・脱臭などの機能を有しており、特に湿気による結露や湿害防止には優れた効果を発揮します。近年の研究では、アトピー性皮膚炎患者の症状改善などにも効果があるといわれ、注目されています。

間取りの問題はこうして解決

 家をつくるとき提案するのは、「仕切っておいて後から自由に変えられる構造にしましょう」ということです。子どもたちが巣立っていけば、最後はご夫婦2人になる可能性が高いですし。子ども部屋については、最低限のプライバシーを仕切るということであれば、家具で仕切る方法もあります。両親がやっていることを子は見て学んでいくものですから、仕切る仕切らないについては、もう少し柔軟な発想があってもよいと思います。
 それから納戸、納戸とよく言いますが、限られた床面積の中で、むやみに人が住めない収納空間を多く割く間取りは、考え直した方がよいかもしれません。先に述べた「整理・整頓」の大切さはここにもつながります。

 

家族が集う快適な住空間

大切にしたい家族が集う住空間
(写真提供/設計・施工:OGATA Inc.)

 昭和の時代、日本人はコンパクトな間取りで生活をしていました。ちゃぶ台があって、そこでみんなで食事をして、布団を敷いて寝て、起きて布団を上げる。部屋を広く使うときはふすまや障子を外せる構造。すごく画期的です。その後、子ども部屋をつくる間取りが優先され始め、子どもと親の関係もバラバラになっていったように思います。
 あるお客さまの例ですが、リビングルームを僕がリフォームしたところ、高校生の息子さんが思いのほか気に入ってくれて、リビングにいる時間が多くなったそうです。
 時代が変わっても、家族が集う快適な住空間づくりは大切にしていきたいと思っています。

 

インテリア・空間デザイナー
尾方 釿一 さん
http://www.ogata-japan.com/

●ひとこと

 最近食と健康のことをよく考えます。冬の根菜類は体を暖め、夏野菜は体を冷やしてくれる働きがあるのに、いまの日本の食は季節感がなくなってしまっている。そうしたことが現代人の体調不良の原因に関与しているかもしれません。またフード・マイレージの観点から考えても、環境負荷を低減させる地産地消は理にかなっています。サブカルチャー全盛の時代に育ち、バブルが終わった時期に社会人になった僕らの世代は、何をして生きていくか、案外深く考えながらやってきた世代でもあると思います。

フード・マイレージ:イギリスのNGOによる、身近でとれた食料を消費することによって食料輸送に伴う環境負荷を低減させていこうという市民運動(フードマイルズ運動)の考え方を参考にして、農林水産省農林水産政策研究所において開発された指標のこと

 

2016年03月掲載

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